脳卒中後の片麻痺を改善する自主トレ10選

ピラティス・リハビリ情報

脳卒中後の片麻痺改善のための自主トレーニング10選

脳卒中後の片麻痺は、日常生活に大きな影響を与える可能性があります。しかし、適切な自主トレーニングを継続することで、機能回復を促進し、生活の質を向上させることが期待できます。ここでは、脳卒中後の片麻痺改善に役立つ自主トレーニングを10種類、それぞれの方法とポイントとともにご紹介します。

1. 健常な手足を使った代償運動

目的: 患側(麻痺のある側)の動きを促すために、健常な側(麻痺のない側)の動きを利用します。

方法:

  • 座位または立位: 椅子に座った状態、または安全な場所で立った状態で行います。
  • 健常な手で患側の手を掴む: 健常な手で、麻痺している方の手首や指を優しく掴みます。
  • 健常な手で患側の手を動かす: 健常な手の動きに合わせて、患側の手をゆっくりと動かします。例えば、健常な手で指を握る動作をすれば、患側の指もそれに倣うように動かそうと意識します。
  • 足も同様に行う: 足に関しても、健常な足で患側の足首やつま先を支え、健常な足の動きに合わせて患側の足を動かします。

ポイント:

  • 無理のない範囲で: 痛みを感じない範囲で行いましょう。
  • 意識を集中: 患側の手足が動いていることを強く意識することが大切です。
  • 回数や時間: 10回程度を1セットとし、1日に数回行いましょう。

2. グリップ練習(握力強化)

目的: 握る力、掴む力を回復させ、物をつかむ、持つといった動作を改善します。

方法:

  • 柔らかいボールやタオルを使う: テニスボールや、丸めて柔らかくしたタオルなど、握りやすいものを用意します。
  • 握る・緩めるの繰り返し: ボールやタオルを患側の手でゆっくりと握り、数秒キープしてからゆっくりと緩めます。
  • 指先で調整: 指先だけで握ったり、全体で包み込むように握ったりと、様々な方法で握る練習をします。

ポイント:

  • 指の連携を意識: 指一本一本を独立して動かす練習も効果的です。
  • 握る強さを変える: 軽く握る、少し強めに握るといったように、握る強さを変えてみましょう。
  • 毎日継続: 毎日行うことで、徐々に握力が向上します。

3. 指の曲げ伸ばし運動

目的: 指の個別の動きや協調性を高め、細かい作業を可能にします。

方法:

  • 指を一本ずつ動かす: 患側の指を一本ずつ、意識して曲げたり伸ばしたりします。
  • 握手をするように: 指先を軽く合わせ、開いたり閉じたりする動作を繰り返します。
  • 指先でテーブルを叩く: 指先でテーブルなどを軽く叩くように動かします。

ポイント:

  • ゆっくりと正確に: 素早く行うよりも、ゆっくりと正確に動かすことを意識します。
  • 座った状態でも可能: 椅子に座ったままでも手軽に行えます。
  • 指先の感覚を研ぎ澄ます: 指先で触れているものを感じながら行うと、より効果的です。

4. 手関節の可動域訓練

目的: 手首の曲げ伸ばし、左右への動きを改善し、腕全体の使いやすさを向上させます。

方法:

  • 手首を上下に動かす: 肘をテーブルなどに固定し、手首をゆっくりと上に反らし(背屈)、下に曲げ(掌屈)ます。
  • 手首を左右に動かす: 手のひらを下に向けて、手首を内側・外側にひねるように動かします。
  • 指先で円を描く: 手首を支点にして、指先で空中に円を描くようなイメージで動かします。

ポイント:

  • 反動を使わない: 勢いをつけて動かすのではなく、筋肉の力でゆっくりと動かしましょう。
  • 痛みがなければ: 痛みを感じる場合は、無理せず範囲を狭めて行います。
  • タオルなどを利用: タオルを丸めて手首の下に敷き、可動域を補助しながら行うこともできます。

5. 肩・肘の運動

目的: 腕全体の動きをスムーズにし、日常生活での腕の利用範囲を広げます。

方法:

  • 振り子運動: 患側の腕をだらんと垂らし、体の重心移動に合わせて腕を前後に、左右に、そして円を描くようにゆっくりと振ります。
  • 肘の曲げ伸ばし: 椅子に座り、肘をテーブルに置いた状態で、ゆっくりと肘を曲げ、伸ばします。
  • 肩の上げ下ろし: 肩をゆっくりと上にすくめ、ストンと下ろす動作を繰り返します。

ポイント:

  • リラックスして行う: 肩や首に力が入らないように、リラックスして行いましょう。
  • 無理のない範囲で: 痛みや突っ張り感がない範囲で、徐々に可動域を広げていきます。
  • 温めながら行う: 運動前に温かいタオルなどで肩周りを温めると、血行が良くなり効果的です。

6. 足首の可動域訓練

目的: 足首の曲げ伸ばし、回旋運動を改善し、歩行の安定性を高めます。

方法:

  • 足首の曲げ伸ばし: 椅子に座った状態、またはベッドに寝た状態で、足先を自分の方に引きつける(背屈)、遠くに伸ばす(底屈)動作を繰り返します。
  • 足首を回す: 足先で空中に円を描くように、足首を内側・外側にゆっくりと回します。
  • タオルギャザー: 床に広げたタオルを、患側の足の指でたぐり寄せる練習をします。

ポイント:

  • 地面をしっかり意識: 歩行をイメージして、地面を踏みしめる感覚を意識しながら行いましょう。
  • 指先を意識: 指先までしっかり動かすことを意識します。
  • 足裏の感覚を研ぎ澄ます: 床の感触を感じながら行うと、より効果的です。

7. 膝の曲げ伸ばし運動

目的: 膝の屈伸運動を改善し、立ち上がりや歩行時の安定性を向上させます。

方法:

  • ベッド上での膝の曲げ伸ばし: ベッドに仰向けになり、膝を立て、かかとを床に滑らせるようにゆっくりと膝を曲げ、伸ばします。
  • 椅子からの立ち座り練習: 肘をつかずに、自力で椅子から立ち上がり、ゆっくりと座る練習を繰り返し行います。

ポイント:

  • ゆっくりと安全に: 転倒しないように、必ず安定した場所で行い、必要であれば壁や手すりに掴まりましょう。
  • 腹筋と背筋を意識: 立ち座りの際は、体幹を安定させるために腹筋や背筋を意識します。
  • 回数を徐々に増やす: 最初は少ない回数から始め、慣れてきたら回数を増やしていきましょう。

8. バランス訓練(立位・歩行)

目的: 体幹の安定性を高め、転倒のリスクを減らし、安全な歩行を促します。

方法:

  • 壁にもたれて立つ: 壁に背中をつけ、両足を肩幅に開いて立ちます。ゆっくりと壁から離れ、バランスをとる練習をします。
  • 片足立ち練習(補助あり): 椅子や壁に掴まりながら、片足で立つ練習をします。
  • 歩行練習(短い距離から): 慣れてきたら、短い距離をゆっくりと歩く練習をします。

ポイント:

  • 安全第一: 転倒しないように、必ず周りに人がいるか、安全な場所で行いましょう。
  • 視線を固定: 遠くを見ることで、バランスがとりやすくなります。
  • 徐々に難易度を上げる: 最初は補助がたくさん必要でも、徐々に補助を減らしていきましょう。

9. 粗大運動(四肢の協調運動)

目的: 体全体の大きな動きを協調させ、日常生活動作の効率を高めます。

方法:

  • 腕と足の連動運動: 椅子に座った状態で、片方の腕を前に伸ばし、同時に反対側の足を前に出すといった、連動した動きを意識します。
  • 起き上がり練習: ベッドの上で、腕と足の力を使い、ゆっくりと起き上がる練習をします。

ポイント:

  • 大きな動きを意識: 指先や手首の細かい動きよりも、腕や足といった大きな動きを意識します。
  • リズミカルに: リズムよく、スムーズに動かすことを目指しましょう。
  • 全身の協調性を意識: 体全体を一つのまとまりとして捉え、協調させて動かすことを意識します。

10. 日常生活動作の再獲得練習

目的: 食事、着替え、入浴など、日常生活に必要な動作を、自主トレーニングで得られた機能を活かして行います。

方法:

  • 食事練習: 箸やスプーンを使い、食べ物を口に運ぶ練習をします。
  • 着替え練習: 服のボタンをかけたり、脱いだりする練習を、ゆっくりと丁寧に行います。
  • 整容動作練習: 歯磨きや顔を洗うといった、身だしなみを整える動作を練習します。

ポイント:

  • 工夫を凝らす: 動作を補助する自助具(滑り止めマット、マジックテープなど)の利用も検討します。
  • 達成感を大切に: 小さな成功体験を積み重ねることが、モチベーション維持につながります。
  • 焦らず、諦めない: 機能回復には時間がかかります。焦らず、根気強く続けることが大切です。

まとめ

これらの自主トレーニングは、脳卒中後の片麻痺改善に有効ですが、個々の状態によって適した運動は異なります。必ず主治医や理学療法士、作業療法士の指導のもと、ご自身の状態に合わせて無理のない範囲で行ってください。 定期的な専門家による評価とアドバイスを受けながら、これらのトレーニングを継続することで、より効果的な機能回復が期待できます。日々の小さな努力が、将来の自立した生活への大きな一歩となります。