高次脳機能障害の家族会と支援サービス
家族会の役割と重要性
高次脳機能障害は、脳の損傷によって記憶、注意、言語、遂行機能などの知的側面や感情、行動に障害が生じる疾患です。その影響は本人だけでなく、家族にも多岐にわたります。突然の病気や事故による発症、後遺症との向き合い、将来への不安など、家族は多くの困難に直面します。
このような状況において、高次脳機能障害の家族会は、家族が孤立せず、支え合い、情報交換を行うための貴重な場となります。家族会は、以下の点で重要な役割を果たします。
- 情報共有と学習の機会: 家族会では、高次脳機能障害に関する最新の医学的情報、リハビリテーションの知識、福祉制度、日常生活での工夫など、多岐にわたる情報が共有されます。経験豊富な家族や専門家からの話を聞くことで、障害への理解を深め、具体的な対処法を学ぶことができます。
- emotional support: 家族会に参加することで、同じような経験を持つ家族と出会い、共感や理解を得ることができます。抱えきれないほどの悩みや不安を打ち明け、互いに励まし合うことで、精神的な負担が軽減されます。
- advocates: 家族会は、高次脳機能障害を持つ方々とその家族の権利擁護や社会的な理解促進のために活動することもあります。政策提言や啓発活動などを通じて、より良い支援体制の構築を目指します。
- social connection: 家族会は、単なる情報交換の場に留まらず、社会的なつながりを育む場でもあります。家族同士が交流を深めることで、孤立感を解消し、生きがいや希望を見出すきっかけとなります。
家族会への参加は、状況を打開するための第一歩となり得ます。家族会は、回復への道のりを共に歩む仲間を見つけるための、かけがえのない存在です。
公的な支援サービス
高次脳機能障害のある方とご家族を支援するための公的なサービスは、多岐にわたります。これらのサービスを理解し、適切に活用することが、日常生活の質の向上に繋がります。
医療・リハビリテーション
- 神経内科・脳神経外科・精神科: 診断、治療、薬物療法など、医学的なアプローチの中心となります。
- リハビリテーション病院・施設: 専門的なリハビリテーション(理学療法、作業療法、言語聴覚療法など)を提供し、機能回復を目指します。
- 外来リハビリテーション: 入院だけでなく、外来でも継続的なリハビリテーションを受けることが可能です。
福祉・相談支援
- 地域包括支援センター: 高齢者に関する総合相談窓口ですが、高次脳機能障害のある方も含めた地域住民の相談に対応します。
- 基幹相談支援センター・特定相談支援事業所: 障害のある方やその家族の身近な相談相手となり、個別支援計画の作成やサービス利用の支援を行います。
- 障害者就業・生活支援センター(なかぽーと): 就労に関する相談や支援、日常生活上の支援を行います。
- ハローワーク: 障害者専門の窓口があり、就職相談や職業訓練の紹介などを行います。
障害者手帳・障害年金
- 身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳: 障害の程度に応じて交付され、税金や公共料金の割引、福祉サービスの利用などに繋がります。高次脳機能障害の場合は、原因疾患や状態によって取得できる手帳が異なります。
- 障害年金: 国民年金や厚生年金に加入していた方が、病気や怪我によって一定の障害が残った場合に支給される年金制度です。
地域生活支援
- 障害者支援施設・グループホーム: 入所施設や、地域で共同生活を送るためのグループホームなどがあります。
- 訪問系サービス(訪問介護、訪問看護など): 自宅での生活を支援するためのサービスです。
- デイサービス・デイケア: 日中の活動の場やリハビリテーションの機会を提供します。
これらの公的サービスは、お住まいの自治体や、かかりつけ医、相談支援専門員などを通じて情報収集し、申請手続きを行う必要があります。どのサービスが適しているかは、個々の状況やニーズによって異なります。
民間・NPOによる支援
公的機関による支援だけでなく、民間企業やNPO法人による支援サービスも存在し、多様なニーズに応えています。
就労支援・移行支援
- 就労移行支援事業所: 一般企業への就職を目指す方に対して、職業訓練、就職活動のサポート、職場定着支援などを提供します。高次脳機能障害のある方の特性に合わせたプログラムを用意している事業所もあります。
- 就労継続支援事業所(A型・B型): 一般企業での雇用が難しい方に対して、働く場所と機会を提供します。
- 特定求職者雇用開発助成金などの活用: 企業が障害者を雇用する際に受けられる助成金制度もあります。
生活支援・居宅サービス
- 訪問介護・居宅介護: 生活支援員が自宅を訪問し、食事の準備、掃除、洗濯、通院介助などの身体介護や家事援助を行います。
- 福祉用具のレンタル・販売: 杖、車椅子、ポータブルトイレなどの福祉用具の利用や購入を支援します。
- バリアフリーリフォームの補助: 自宅を生活しやすいように改修する際の補助金制度などがあります。
相談・情報提供
- NPO法人やボランティア団体: 高次脳機能障害に特化したNPO法人や、広範な障害者支援を行う団体が、専門的な知識や経験に基づいた相談対応、情報提供、啓発活動を行っています。
- オンラインコミュニティ・SNS: インターネット上には、家族や当事者が情報交換や交流を行えるコミュニティやSNSが存在し、場所を選ばずに繋がることができます。
民間・NPOによる支援は、専門性や柔軟性に富んだサービスを提供している場合が多く、公的サービスでカバーしきれない部分を補完する役割を果たします。これらのサービスについては、インターネット検索や、家族会、関係機関からの紹介などで情報を得ることができます。
専門機関・地域資源の活用
高次脳機能障害への対応は、多職種連携が不可欠です。専門機関や地域資源を効果的に活用することが、より質の高い支援に繋がります。
医療機関
- 大学病院・総合病院: 専門医による診断、治療、リハビリテーションの中心的役割を担います。
- 回復期リハビリテーション病院: 急性期治療後のリハビリテーションに特化しています。
- 専門クリニック: 脳神経外科、神経内科、精神科の専門クリニックも、地域に根差した医療を提供します。
リハビリテーション専門職
- 理学療法士(PT): 身体機能の回復、歩行訓練、日常生活動作の改善などを担当します。
- 作業療法士(OT): 日常生活動作、作業活動、認知機能の改善などを通じて、社会参加を支援します。
- 言語聴覚士(ST): 言語障害、コミュニケーション障害、嚥下障害などの評価と訓練を行います。
相談支援専門員
障害福祉サービスを利用する際に、個々のニーズに合わせたサービス計画を作成し、関係機関との連携を調整する専門職です。地域の基幹相談支援センターや特定相談支援事業所に所属しています。
地域包括ケアシステム
高齢者だけでなく、障害者、難病患者なども含めた地域住民の医療、介護、福祉、予防、住まいなどを一体的に提供するシステムです。地域包括支援センターが中心となり、様々なサービスをコーディネートします。
行政窓口
市区町村の障害福祉課や保健所は、各種制度の案内、申請受付、相談対応などを行います。
まとめ
高次脳機能障害のある方とそのご家族が、より良い生活を送るためには、家族会による精神的な支えや情報共有、そして公的・民間・NPOによる多様な支援サービスの適切な活用が不可欠です。医療機関、リハビリテーション専門職、相談支援専門員、地域資源など、様々な専門機関や地域資源を理解し、積極的に繋がっていくことが重要です。一人で抱え込まず、利用できる制度やサービスを最大限に活用し、地域社会とのつながりを保ちながら、その人らしい生活を築いていくためのサポート体制を整えていくことが、今後の社会全体の課題と言えるでしょう。
