テニス肘・ゴルフ肘の自宅でできるリハビリ
テニス肘(外側上顆炎)とゴルフ肘(内側上顆炎)は、肘の周囲の筋肉や腱に炎症が起こる疾患です。どちらも繰り返しの動作や負担によって発症しやすく、日常生活でも痛みを伴うことがあります。ここでは、自宅でできるリハビリテーションの方法について、具体的なエクササイズ、ストレッチ、そして注意点などを詳しく解説します。
テニス肘・ゴルフ肘の症状と原因
テニス肘は、主に肘の外側にある筋肉(前腕伸筋群)の使いすぎによって起こります。ドアノブを回す、重いものを持ち上げる、タオルを絞るといった動作で痛みを感じることが特徴です。
一方、ゴルフ肘は、肘の内側にある筋肉(前腕屈筋群)の使いすぎによって起こります。物を握る、腕を曲げる、重いものを持ち上げる動作で痛みを感じることが特徴です。
どちらの肘の痛みも、スポーツだけでなく、パソコン作業、大工仕事、長時間のスマホ使用など、日常的な動作で発生することがあります。
自宅でできるリハビリテーションの原則
自宅でのリハビリテーションは、無理なく、継続的に行うことが最も重要です。痛みが強い場合は、無理にエクササイズを行うと症状を悪化させる可能性があります。痛みの程度に合わせて、徐々に負荷を上げていきましょう。
リハビリテーションの目的は、以下の通りです。
- 痛みの軽減
- 炎症の抑制
- 筋肉の柔軟性向上
- 筋力の回復と強化
- 再発予防
具体的なリハビリテーションエクササイズ
以下に、テニス肘・ゴルフ肘の両方に効果が期待できるエクササイズをいくつかご紹介します。それぞれの運動を、10~15回程度、1セットとし、1日に2~3セットを目安に行いましょう。
1. 手首の曲げ伸ばし運動
この運動は、前腕の筋肉をストレッチし、柔軟性を高めるのに役立ちます。
テニス肘(外側上顆炎)の場合
- 椅子に座り、片腕を前に伸ばします。手のひらは下向きにします。
- もう片方の手で、痛む側の手の指を掴み、ゆっくりと手首を上に反らせます。
- 肘は伸ばしたまま、前腕の外側に伸びを感じるまで行います。
- 20~30秒キープし、ゆっくりと元に戻します。
- 反対の手でも同様に行います。
ゴルフ肘(内側上顆炎)の場合
- 椅子に座り、片腕を前に伸ばします。手のひらは上向きにします。
- もう片方の手で、痛む側の手の指を掴み、ゆっくりと手首を下に向けて曲げます。
- 肘は伸ばしたまま、前腕の内側に伸びを感じるまで行います。
- 20~30秒キープし、ゆっくりと元に戻します。
- 反対の手でも同様に行います。
2. リストカール(手首の曲げ運動)
この運動は、前腕の筋肉を強化するのに役立ちます。
- 軽いダンベル(ペットボトルでも可)を片手に持ち、腕を椅子などに乗せて、手のひらを上に向けて肘を90度に曲げます。
- 手首だけをゆっくりと持ち上げ、ダンベルを上へカールさせます。
- ゆっくりと元の位置に戻します。
- これを10~15回繰り返します。
3. リバースリストカール(手首の伸ばし運動)
この運動は、テニス肘(外側上顆炎)の改善に特に効果的です。
- 軽いダンベル(ペットボトルでも可)を片手に持ち、腕を椅子などに乗せて、手のひらを下に向けて肘を90度に曲げます。
- 手首だけをゆっくりと持ち上げ、ダンベルを上へカールさせます。
- ゆっくりと元の位置に戻します。
- これを10~15回繰り返します。
4. グリップエクササイズ
握力の強化と前腕の筋肉の血行促進に役立ちます。
- ハンドグリップ(握力強化器具)や、柔らかいボールなどを握り、ゆっくりと力を入れて握り込みます。
- 数秒間キープし、ゆっくりと力を緩めます。
- これを10~15回繰り返します。
5. 雑巾絞り運動(負荷を調整して)
実際の動作に近い動きで、前腕の筋肉を鍛えます。
- 乾いた雑巾またはタオルを用意します。
- 両手で雑巾の端を持ち、ゆっくりと雑巾を絞ります。
- テニス肘の場合は、外側に回しながら絞る動作を意識します。
- ゴルフ肘の場合は、内側に回しながら絞る動作を意識します。
- 痛みのない範囲で、回数や強さを調整して行います。
6. アイソメトリック運動
筋肉を動かさずに力を入れる運動で、痛みを悪化させずに筋力を維持・向上させるのに役立ちます。
テニス肘(外側上顆炎)の場合
- 壁に手のひらを当て、肘を伸ばした状態で、壁を外側に押すように力を入れます。
- 5~10秒キープし、力を緩めます。
- これを数回繰り返します。
ゴルフ肘(内側上顆炎)の場合
- 壁に手のひらを当て、肘を伸ばした状態で、壁を内側に押すように力を入れます。
- 5~10秒キープし、力を緩めます。
- これを数回繰り返します。
リハビリテーションを効果的に行うための注意点
- 痛みを伴う場合は中止する:リハビリ中に強い痛みを感じた場合は、すぐに運動を中止してください。無理な運動は、炎症を悪化させる可能性があります。
- ウォーミングアップとクールダウン:運動前には軽いストレッチなどで体を温め、運動後にもクールダウンとしてストレッチを行いましょう。
- 徐々に負荷を上げる:最初は軽い負荷で始め、慣れてきたら回数や重さを徐々に増やしていきます。
- 正しいフォームで行う:効果を最大限に引き出すためには、正しいフォームで運動を行うことが重要です。不明な点は、専門家に相談しましょう。
- 継続することが大切:リハビリテーションは、効果が出るまでに時間がかかることがあります。焦らず、毎日継続して行うことが大切です。
- 休息も重要:痛む部位を休ませることも、回復には不可欠です。痛みが強い時は、無理な活動を避け、安静にしましょう。
- 温熱療法・冷却療法:痛みが強い急性期には、冷却療法(アイシング)が有効です。炎症が落ち着いた慢性期には、温熱療法(温かいタオルや入浴など)で血行を促進すると、痛みの緩和や筋肉の回復に役立つことがあります。
日常生活での工夫
リハビリテーションと並行して、日常生活での工夫も重要です。
- 負担のかかる動作を避ける:痛みを引き起こすような、繰り返しの多い動作や重い物を持ち上げる動作は、できるだけ避けましょう。
- 道具の活用:重い物を持ち上げる際は、台車やヘルパーなどを活用しましょう。
- 姿勢の改善:パソコン作業などで長時間同じ姿勢をとる場合は、定期的に休憩を挟み、姿勢を正しましょう。
- サポーターの使用:テニス肘やゴルフ肘用のサポーターは、肘への負担を軽減するのに役立ちます。
- ストレッチを習慣にする:日常的に、前腕や肩周りのストレッチを行うことで、筋肉の柔軟性を保ち、予防にもつながります。
専門家への相談
自宅でのリハビリテーションで改善が見られない場合や、痛みが強い場合は、整形外科医や理学療法士などの専門家に相談することをお勧めします。専門家は、個々の症状に合わせた適切な診断と、より専門的なリハビリテーションプログラムを提供してくれます。
まとめ
テニス肘・ゴルフ肘の自宅でのリハビリテーションは、正しい知識と根気強い継続が成功の鍵となります。今回ご紹介したエクササイズやストレッチを、ご自身の状態に合わせて無理なく実践し、痛みの軽減と機能回復を目指しましょう。日常生活での工夫と合わせて、早期の回復と再発予防に努めてください。
