装具(AFOなど)の役割と正しい使い方

ピラティス・リハビリ情報

装具(AFOなど)の役割と正しい使い方

装具(AFO)とは

装具、特に足継手装具(Ankle-Foot Orthosis、以下AFO)は、下肢の機能障害を補い、歩行能力の改善や維持を目的として使用される医療機器です。脳卒中、脊髄損傷、神経筋疾患、脳性麻痺、末梢神経障害など、様々な原因による麻痺や筋力低下、関節の不安定性などに対して処方されます。AFOは、足首や足部の異常な動きを制限・制御したり、逆に必要な動きを補助したりすることで、患者さんの日常生活動作(ADL)の向上に貢献します。

AFOの主な役割

AFOの役割は、その設計や素材、そして患者さんの状態によって多岐にわたります。一般的に、以下のような役割が挙げられます。

歩行パターンの改善

* 立脚期の安定化: 足首の背屈(つま先を上げる動き)ができない、あるいは過剰な底屈(つま先を下げる動き)が生じる場合、AFOは足首を適切な位置に固定または支持することで、立脚期(足が地面についている期間)の安定性を高めます。これにより、患者さんはより安全に体重を支持し、転倒のリスクを軽減できます。
* 遊脚期のクリアランス確保: 歩行時には、足が地面に当たらないように持ち上げる(遊脚期)必要があります。足関節の背屈制限がある場合、つま先が地面に引っかかりやすくなります。AFOは、必要に応じて足関節の背屈を制限することで、遊脚期に適切な足首の角度を維持し、つま先が地面に引っかかるのを防ぎます。
* 回内・回外の制御: 足の内側への倒れ込み(回内)や外側への倒れ込み(回外)を制御し、足部の適切なアライメントを保つことで、歩行時の推進力を効率的に生み出すのを助けます。

関節の保護と過負荷の軽減

* 関節の過伸展・過屈曲の防止: 関節の可動域制限や不安定性がある場合、AFOは関節が異常な方向に動くのを制限し、痛みの軽減や二次的な損傷の予防に役立ちます。
* 下肢への負担軽減: 不安定な歩行による関節への過剰な負担を軽減し、疲労の蓄積を抑えます。

筋力低下の補填

* 筋力の代償: 麻痺や筋力低下により、特定の筋肉が十分に機能しない場合、AFOはその機能を代償します。例えば、足首を上げる筋肉(前脛骨筋など)が弱い場合、AFOが足首の背屈を補助することで、歩行が可能になります。

姿勢の保持

* 立位姿勢の安定: 足部や足関節の不安定性は、全身の姿勢にも影響を与えます。AFOは足部を安定させることで、より良い立位姿勢の維持をサポートします。

AFOの正しい使い方

AFOを効果的に活用するためには、正しい装着方法、手入れ、そして定期的な評価が不可欠です。

装着方法

1. 準備: AFOを装着する前に、足や下腿に傷や腫れがないか確認します。必要であれば、薄手の靴下などを着用します。
2. 装着:
* AFOを足に合わせ、足部が正しく収まるようにします。
* ストラップやベルクロを、きつく締めすぎず、緩すぎず、適切なフィット感で固定します。足首周りが最も重要ですが、必要に応じて他の部分も調整します。
* 装着後、足首の角度やフィット感に違和感がないか確認します。
3. 歩行確認: 装着した状態で、短距離を歩いてみて、歩行パターンに変化がないか、痛みや圧迫感がないかを確認します。

使用上の注意点

* 専門家(医師、理学療法士、義肢装具士)の指示に従う: AFOの選択、装着、調整は、専門家の指導のもとで行われるべきです。自己判断での使用や調整は、症状の悪化や合併症を引き起こす可能性があります。
* 定期的な評価: 患者さんの状態は変化するため、定期的に専門家によるAFOの評価と調整が必要です。
* 皮膚の観察: 装着部位の皮膚に赤み、ただれ、痛みが生じていないか、毎日確認します。異常が見られた場合は、すぐに使用を中止し、専門家に相談してください。
* **清潔の保持: AFOは清潔に保つことが重要です。定期的に乾いた布で拭くか、メーカーの指示に従って洗浄します。
* 破損の確認: 定期的にAFOに破損がないか確認し、異常があれば修理または交換を依頼します。
* 長時間の装着: 医師の指示がない限り、睡眠時など、活動していない時間帯はAFOを外すことが推奨されます。
* 靴の選択: AFOを装着したまま履ける適切な靴を選ぶことが重要です。靴はAFOをしっかりと覆い、歩行を妨げないものである必要があります。

AFOの種類と選択

AFOには様々な種類があり、患者さんの病状、麻痺の程度、目標とする歩行能力などに応じて選択されます。

* **フリーAFO (Free-Motion AFO): 足関節の動きを比較的自由にさせつつ、支持性を高めるタイプ。
* **ダンプAFO (Damp AFO): 足関節の背屈・底屈に抵抗を加えることで、歩行時の安定性を高めるタイプ。
* バイポールAFO (Bilateral AFO): 両側に使用するタイプ。
* **カーボンファイバー製AFO:** 軽量で強度が高く、バネのような反発力を利用して歩行を補助するタイプ。
* **プラスチック製AFO:** カスタムメイドが可能で、フィット感に優れるタイプ。

AFOの選択にあたっては、専門家が患者さんの歩行分析を行い、最適なタイプを決定します。

まとめ

AFOは、下肢の機能障害を持つ患者さんにとって、歩行能力の改善、安定性の向上、そして日常生活の質の向上に大きく貢献する装具です。その役割を最大限に引き出すためには、専門家の指示に従い、正しい装着方法と使用上の注意点を遵守することが極めて重要です。定期的な評価と調整を行うことで、AFOは患者さんの歩行を支え、より自立した生活を送るための一助となるでしょう。